これはいわゆるアメリカンジョークです。( )にどんな言葉が入ったら面白いジョークが完成すると思いますか? つまり、おじさんの耳に突っ込まれていて可笑しいものは何でしょうか?(実際、たいていの物は耳に入っていたら可笑しいのですが…)
‘耳かき’や‘耳栓’じゃつまらないですよね。耳とまったく関係のない物が入っているからこそ面白いはずです。
今までいろんな人に答えてもらったのですが、わたしが特にお気に入りだったのは、‘夢と希望’という答えでした(笑)。意表を突かれた絶妙な答えだと思いませんか?
頭で考えたときには面白いと思っても、声に出して演じてみたらイマイチだったということもあります。実際大人数で反応をみながらやってみたところ、‘おばさん’‘志村けん’‘鼻’‘象’などはイマイチでした(演技力があれば面白くなるかも知れませんが…)。長過ぎる答えも、声に出すとテンポ感が落ちて面白くなくなるようでした。
逆に‘ウニ’は結構ウケていました。耳に対して大きさがリアルで、想像しやすいせいでしょうか。それにしても痛そう!
ちなみに元は、‘バナナ’がおじさんの耳に入っている、というジョークです。
‘耳’と‘バナナ’。このようにまったく関係のない意外なもの同士が結びついた時、笑いや感動が生まれるのだと思います。意外性のない漫才じゃ笑えないし、予想通りの展開のドラマじゃ泣けませんよね。
作詞する時も、『何かと何かを繋げる』考え方はとても大事です。
今回はそれを実践してみたいと思います。
1.《夜》をテーマに。
まず夜を連想させる言葉を集めます。
[A]
| 月 流れ星 オリオン座 闇 ネオン 眠る ベッド 羊 |
これらの言葉、または‘夜’そのものを使ってフレーズをつくってみます。
○ 眠らない街角にネオンが灯る頃
○ オリオン座が少し風に揺れた
○ すました三日月にそっと語りかける
○ 夜はいつも孤独を連れてくる
工夫すれば充分いい歌詞になりますが、これだけだと、ありきたりにもなりやすいものです。
では、次にちょっと発想を変えて、夜と直接関係のない言葉を書き出します。夜というテーマは一度忘れて下さい。本や辞書を開いて、目についた言葉を抜き出すと簡単です。
[B]
トラック タンス コーヒー レコード 泳ぐ 満ち潮 崩れる 爽やか 山
ゴミ箱 パラシュート ブランコ インド洋 神様 笑う 用水路 交差点 |
そして、[A][B]からひとつずつ言葉を選んで、結び付けてフレーズをつくります。感覚としては、ひとつの絵の中にふたつの言葉(イメージ)を描き入れるつもりでやってみてください。
○ 流れ星とコーヒーで乾杯!
○ 羊の数がわからなくなって、レコードに針を落とした
○ 暗闇は嘘を葬るゴミ箱じゃない
○ トラックの音と三日月だけの夜
○ パラシュートで闇の真ん中に降り立つ
距離があるふたつのイメージが結び付くと、何かストーリーが始まりそうな気がしてきませんか? また、個性的な歌詞が簡単に書けそうですよね。
さらに、できたフレーズの続きを書いてみます。
★ 暗闇は嘘を葬るゴミ箱じゃない
汚れた靴は汚れたまま朝日にさらされ
確実にめくられていく、真実の1ページ
★トラックの音と三日月だけの夜
身も心もただ吸い込まれて行く
他に必要な物なんて、今は何もない。
夜に直接関係ない言葉が、歌詞の世界をずいぶん拡げてくれると思いませんか?
2.《雨》をテーマに。
1と同様に、雨をテーマにしてみましょう。
[A]雨を連想させる言葉達(‘雨’そのものを含む)
| 傘 降る 濡れる 雨やどり 水たまり 長靴 雨音 雨粒 |
[B]雨に直接関係のない言葉達
ブレスレット ピアノ コックさん ノラ猫 電柱 断る パソコン 風船
高層ビル 呆れる ガソリン 観覧車 神社 ショートケーキ 飛び回る |
[A][B]からひとつずつ言葉を選んで、結び付けてフレーズをつくります。
○ ノラ猫とふたり 雨やどり
○ 高層ビルはただだまって濡れ続けていた
○ 観覧車の窓に雨のカーテン
○ 雨音に掻き消されるピアノの音色
○ 大きな風船が割れたような雨
○ 雨とショートケーキ
『雨とショートケーキ』なんてとても短くてシンプルですが、インパクトがあって曲のタイトルになりそうですね。
ではできたフレーズの続きをいくつか書いてみます。
★ ノラ猫とふたり 雨やどり
知らない傘が助けに来るのを
それぞれ夢見て寄り添った
★ 観覧車の窓に雨のカーテン
15分間の作られた夢の中
そっと触れた指先の確かな温もり
★ 雨とショートケーキ
甘い思い出だけ舌にくるめて
「もう泣かない」と呟いた 日曜の午後
たとえば憂鬱な雨の日に、わくわくするような雨のフレーズをつくって、鼻歌を歌ってみるだけでも楽しいですよ。ノラ猫や観覧車やショートケーキなど、いろんなものと結び付けて音楽(歌詞)の一部になることで、「ただの雨」が「ドラマティックで特別な雨」に変わります。そうやって日常の中にドラマ性を見出せると、毎日がいきいきしてくると思います。他にも、朝、夏、花、恋など、好きなテーマで気軽にチャレンジしてみてください♪